Tutti Lab

元シリコンバレー在住のおっさん技術者、モバイルVRアプリ開発に挑戦中

Unityで360度立体視CG映像を作る

前回は、Maker Faire Tokyoに出展したVR映像撮影システムのハードウェア構成について書きました。
今回は、背景となる360度立体視CG映像をUnityで作成する方法について書きたいと思います。

【第1回】VR撮影システムのハードウェア構成
【第2回】360度立体視CG映像を作る(今回)
【第3回】カメラ入力映像と重畳しエンコードする

360 Panorama Capture

360 Panorama Captureを利用することで、Unityで構成したシーンから簡単に360度立体視映像を作成することができます(ただしWindowsのみ、DirectX 11以上、ハイスペックなGPU必要)。
本アセットの利用方法は非常にシンプルです。まず、本アセットをインポートし、Edit->Project Setting->PlayerでPCのPlayer Settingsを表示、Other Settings->OptimizationのAPI Compatibility Levelを".NET 2.0 subset"から".NET 2.0"に変更します。これで、Editorでの実行でキャプチャーが可能となります
次にシーン内に適当なGameObjectを配置し、Project/Capture Panorama/CapturePanorama.csをそのGameObjectへドラッグ&ドロップします。
するとインスペクタに以下のようにたくさんの設定項目が表示されますが、360度立体視映像の生成に必要なのは、下記の設定のみです。

  • Panorama Name: 生成するイメージファイルの接頭語を設定します。例えば"Img"を設定すると、本アセットは"Img****_000001.png", "Img****_000002.png"の名前の画像を出力します。
  • Image Format: 出力するイメージのフォーマットを指定します。JPG, PNG, BMPを指定できます
  • Capture Stereoscopic: これをチェックすることで立体視用の画像が出力されます
  • Panorama Width: 生成するイメージの幅を指定します。デフォルトで8096とかなり大きな数字となっているため、4096, 2048等、必要に応じて低い値を設定すると良いです
  • Save Image Path: イメージを出力するフォルダ名を指定します。大量のイメージが出力されることになるため、本ファイル出力用に新たにフォルダを生成する方が良いです
  • Capture Every Frame: これをチェックすることで、全フレームイメージとして出力されます(その代わりよほどハイスペックなPCでない限りパフォーマンスが大幅に低下します。私の環境だと60fps 10秒分のファイルを出力するために5分程度かかりました)
  • Frame Rate: フレームレートを設定します。私は60としましたが、用途に応じて30や15を設定すると良いです

その他の設定項目については、Project/Capture Panorama/READMEを確認ください。なお、古いOculus Pluginを使用している場合は、一部スクリプトの変更が必要のようです。

上記設定したら、あとは(Editor上で)実行し、pキーを押下します。これでキャプチャーが開始されます(上記の通り非常に動作が重くなります)。再度pキーを押下することでキャプチャーは終了します(しばらくpキーを押しっぱなしにしないと、動作が重すぎて当方環境ではキャプチャー終了となりませんでした)。

次に上記生成したイメージファイルをmp4等の動画に変換します。動画への変換は、ffmpegを利用して、コマンドラインから行います。なお、入力すべき内容は、Project/Panorama Capture/assemble.cmdとして用意されています。しかし、シンプルに以下の入力で問題ありません。

ffmpeg -f image2 -r 60 -i ****_%06d.png -r 60 -an -vcodec nvenc -b:v 8M -y -pix_fmt yuv420p -s 1920x2160 a.mp4

生成されるファイルの名前は、例えばImg_2016-08-06_10-34-06-377_000001.png, Img_2016-08-06_10-34-06-377_000002.pngのように、6桁の数字の前部分は全て同一となえいます。****には、この6桁の数字より前の部分を指定します。

Urban City 1.0

Maker Faire Tokyoでのデモでは、背景の360度立体視映像として、Urban City 1.0を利用しました。
本アセットのデモシーンProject/City/Scene.unity内の適当なビル間に長細いCubeを配置して橋にして、その橋の上にカメラを設置、まるで橋の上にいるような360度立体視映像としました(Maker Faire Tokyoでのデモで一番人気でした)。
f:id:tuti107:20160808182858p:plain
なお、本アセットには車等の3Dモデルも含まれております。Maker Faire Tokyoのデモでは、車道に車を走らせるアニメーションを追加し、橋の下を見ると、遠くに小さな車が走っている、それが「高さ」を感じさせて足がすくむ、という効果を狙いました。
youtu.be
※iPhone/Android PhoneのYoutube Appにて本ビデオを視聴することで、360度立体視視聴が可能です(こちらをクリック)。ただし立体視をするためにはGoogle Cardboardが必要です。


今回は、360度立体視映像をプリレンダリングする方法について書きました。次回は、このプリレンダリングした360度立体視映像と、前回説明したiPhone 2台による撮影映像を合成し、最終的なコンテンツを生成する方法について書こうと思います。